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暗闇にほのかに輝き、そして儚く消えゆく蛍。人の生もまた然り。。。


by irish-rhyme
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私の幸せ

今日の読売新聞朝刊の編集手帳に感慨深いことが掲載されている。
植物学者の牧野富太郎のことである。牧野の「学者には学問があれば何も要らない」という姿勢についての逸話を紹介した後、最後はこう結ばれている。

「教育というのも煎(せん)じ詰めれば、ひと筋に恋する人をつくることかも知れない。」


私も学生や生徒の育成に携わる教育者のはしくれだと自分では思っている。
ここ4、5年でたくさんの学生に関わり、いろんな学生の面倒を見てきた。

そして、私は今まさに「恋」をしている。

どうにかしてあげたい、なんとかなって欲しい。
そんな狂おしいほどの気持ちでいっぱいになる。

そんな学生に巡り会えたのだから、
きっと私は幸せなんだろうなと思う。

教育者にとって大事なのは、学生の評判じゃなく
学生をいとおしく想う気持ちだと思う。




ただ、、恋が盲目にならなければ、、という条件はつく。








つかず離れず。。。
ちょうどいい距離を保ちつつ、温かく見守ることを忘れずに。











 ◆植物学者の牧野富太郎は小学校を中退したあと、学校と名のつく所では学んでない。49歳で東京帝大の講師となり、77歳で退職するまで肩書は講師だった
 ◆学識の世評は高くとも学歴のない老講師に、ひと恥かかせる魂胆だろう。野外観察の折、ひとりの学生が枯れ草の根を取り出し、牧野の前に黙って差し出した。名前を当てられるものなら当ててごらん
 ◆学生たちが好奇の目で見つめるなか、牧野は草の根をそっと口に含むと、関東地方では見られない南方種のヒルガオの名を静かに告げた。特徴として、その根にはサツマイモに似た甘味のあることを言い添えた。渋谷章著「牧野富太郎」に記された挿話である
 ◆生涯に50万点の標本を採集し、1000種の新種を発見した植物分類学の巨人が94歳で死去したのは1957年(昭和32年)の1月18日、きょうは没後50年の忌日にあたる
 ◆「学者には学問があれば何も要らない」。冷遇と貧窮の時代にも、そう語っていたという。学者の誇りを捨てた「論文捏造(ねつぞう)教授」や、欲に良心を売り渡した「研究費流用教授」が世を騒がす昨今、折に触れて思い出される人である
 ◆たわむれに詠んだ都々逸が残っている。「草を褥(しとね)に木の根を枕 花を恋して五十年」。教育というのも煎(せん)じ詰めれば、ひと筋に恋する人をつくることかも知れない。
「読売新聞 『編集手帳』 (2007年1月18日)」

by irish-rhyme | 2007-01-18 15:50 | 随想録